基礎的知識(各資格共通)


@ スポーツ科学の知識

登山と健康
登山は、典型的な有酸素運動(エアロビックス)で、心肺系を活発に使用し脂肪を燃焼させる。適切な方法で行えば健康増進に役に立つ。


ウォーキングと比較した登山の特徴
大自然の中の運動で、景色に変化もあり、長時間歩いても飽きない。そして、森林浴の効果もある。坂道や下り坂での荷物の重さがよい負荷となり、心肺機能と脚力がよりいっそうの強化になる。 ハイキング程度であっても、ウォーキングと比較すると体に対する負担が大きい。十分な準備が必要。


世界保健機構(WHO)の健康の定義
「完全な肉体的精神的及び社会福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」


登山で起こる疲労

1.上りで起こる疲労              ⇒ 乳酸の蓄積       ⇒ 最高心拍数(220−年齢)の75%位で歩く 
   
2.下りで起こる疲労              ⇒ 筋肉の損傷       ⇒ 普段からのトレーニングと体重管理 肥満度(BMI)体重(kg)/身長(m)2
                                              肥満度22あたりが最もよく、病気にもかかりにくい。

3.エネルギー枯渇による疲労        ⇒ シャリバテ        ⇒ 有酸素運動は、炭水化物と脂肪を燃焼させる。
                                              炭水化物が枯渇すると脂肪を使うことができない。


                                              炭水化物(グリコーゲンとして肝臓中、あともう一つ筋肉の中に蓄えられるのです。)                                              蓄積が困難。カーボローディング(登山の前に炭水化物を蓄える)

                                              エネルギー消費量(kcal)=体重 × 行動時間 × 5
                                              例)60`の人が8時間行動すると、2400kcal の消費
                                              エネルギー消費量の5割〜8割を炭水化物で2時間に1回程度の割合で補給する。
                                              トレーニングを積んだ人ほど、脂肪を多く利用できる。

4.水分の枯渇による疲労            ⇒  脱水症状        ⇒  水分補給の目安 

                                               脱水量(ml)=体重 × 行動時間 × 5
                                               例)60`の人が8時間行動すると、2400ml の脱水
                                               その7割〜8割を補給することを目安にする。
                                               ウォーターローディングについて


山での環境障高山病 熱中症 低体温症 凍傷



高山病(急性高山病)AMS Acute Mountain Sickness          ⇒  低酸素が要因

「頭痛がある事に加えて、消火器症状(食欲不振・吐き気・嘔吐)、疲労感(倦怠感、脱力感)、めまい、睡眠障害のうち一つ以上伴った状態」

概ね、2500m以上の高地から発症する可能性があり、悪化すると「高地性肺水腫」及び「高地性脳浮腫」といった致命症になることもある。

高度馴化の目安となる酸素飽和度 ⇒ 平地では97%以上が正常値で、90%を割ると酸素吸入を開始、80%を下回ると危篤状態とされている。
                         平地で倒れるほどダッシュしても、90%を割ることはない。
                         パルスオキシメーター: 採血せずに血中酸素濃度を測定する機械です。

高山病対策 ⇒「ゆっくり歩く」「水分補給を多くする」「呼吸法に気をつける(深呼吸・腹式呼吸」が有効

高山病の治療方針(三浦 裕准教授)

AMS自己判定スコア


一般的な酸素欠乏に対する人間の反応 (安全基準)〈信州山遊びねっとより〉

O2濃度 症状
21% 自然酸素濃度

18%

安全限界 連続換気が必要
16〜12% 呼吸、脈拍数の増加。精神集中力の低下、頭痛、耳鳴り、吐き気。       富士山山頂 3776m
14〜9% 意識もうろう。頭痛、吐き気、顔面蒼白、全身脱力。
10〜6% 昏倒、意識消失。全身の筋けいれん。                        エベレスト山頂  8848m          
6%以下 意識不明、昏睡。呼吸停止、心臓停止、6分間で死亡。

富士山山頂の酸素濃度は、平地の2/3程度です。酸素濃度は、約14%になります。

空気とは…〈信州山遊びねっとより〉

組成 濃度
酸素 20.9%
窒素 78%
アルゴン 0.93%
二酸化炭素 0.034%
その他 微量
熱中症とは、体温の上昇による異常の総称
 
 
・ 熱失神
・ 熱痙攣
・ 熱疲労
・ 熱射病 の4種類


低体温症(ハイポサーミア)     低体温症とは

主要因 

1.低温     ⇒ 高度100mの上昇で、気温が0.6℃減少。

2.風       ⇒ 風速1mで体感温度が1℃減少。【風の強さの目安】ビューフォート風力階級

3.濡れ     ⇒ 熱が奪われやすくなる。 
            水は大気の25倍も熱を伝えやすい(体温を奪いやすい)と言われています。

かかりやすくする要因

・体力がない者
・子供・高齢者
・疲労が激しい者
・脱水時
・アルコール
・タバコ
・高所
凍 傷
凍傷とは、主に0℃以下の寒冷な環境等によって、皮膚等の末梢組織が凍結することによって生じる傷害。多くは、厳寒下、強風また高冷地で受傷することが多い。
第1度 表皮の凍傷(紅斑性凍傷) 発赤、腫脹、痒み感、加熱後灼熱感、多くは数日以内に治癒。
第2度 真皮に及ぶ凍傷(水疱性凍傷) 紫紅色、浮腫、水疱、加温後充血、多くは3週間ほどで治癒。
第3度 皮下組織までの凍傷(壊死性凍傷) 暗黒色、壊死、潰瘍、感覚脱出、上皮化は期待できない。皮膚移植が必要。
第4度 骨、筋までの凍傷 より深く広範な壊死、後にミイラ化して分異線に沿って脱落。切断術が必要。

     体験談
     指が冷たく痛くなった段階で、乾いた手袋に替えても効果がない場合は、股間にその手を入れて暖かめる事が有効です。というより、そうしなければ何らかなの障害が出ると      思います。本来ならば、そうならないように、頻繁に手袋を代える必要があります。
     そう寒くない時は、中間の手袋で行動しがちですが、濡れを予防する意味では、インナーとオーバーでの行動が良いと思います。それでも、厚ければオーバーのみです。
     冬季は、オーバー手袋を優先させるべきだと考えています。



打撲・捻挫・骨折の応急措置

RICE処置

Rest               ⇒ 安静にする

Icing                ⇒ 冷やす

Compression         ⇒ 圧迫する

Elevation            ⇒ 患部を高くする



登山での障害

膝間接痛 腰痛 この2つが圧倒的に多い

    膝関節痛の要因  ⇒  大腿四頭筋の筋力低下 + 大腿四頭筋の柔軟性の低下

    腰痛の要因     ⇒  腹筋の筋力低下 + 脊柱起立筋の柔軟性の低下 

    予防法としては、定期的な筋力トレーニングと柔軟運動
    グルコサミン、コンドロイチンでの軟骨促進も有効。

A 地球物理・気象・動植物・地理・地質・地形に関する知


森林・林業に関する事項

地球の陸地の30%が森林です。熱帯・亜熱帯が56%、温帯と寒帯が44%です。そのほぼ95%が天然林で、人工林はわずか5%です。

日本の森林面積は、64%で世界で最も比率が高くなっています。そのうち、42%が人工林です。
先進国で森林割合が、60%超える国は、日本のほかには、スウェーデンとフィランドだけです。
日本の森林のうち、民有林・国有林・公有林の割合は、概ね6:3:1の割合です。

『森は緑のダム』
地球上の水(海水含む)の0.14%が循環している。淡水のみであれば2〜3%が循環。
 森の働き
−ムサビーと一緒に勉強しよう!−


森林の多面的効果
・ 二酸化炭素吸収
・ 表面侵食防止
・ 表面崩壊防止
・ 洪水緩和
・ 水資源貯留
・ 水資質浄化

・ 他

B 農山村の経済と歴史・民族の知識

   

C 山地・里地・里山の環境知識

里山とは
人が住み、生活をする場所に接した裏山です。単に山が存在するだけではなく、人の生活、田畑、水路などが一体になった人間を含む生き物の生活圏として存在してきました。
里山の歴史
昭和30年代に燃料革命が起こり、炭や薪の利用がなくなりました。また、化学肥料の普及から堆肥などの利用もなくなり、里山が放置されるようになり、現在では、里山の風景を残すところがなくなってきています。                                                                                  
里山の自然を守るためにどのような整備が必要か
間伐作業
空間を確保して、林に光を取り入れる。

枝打ち作業

木材としての利用を考え、枝打ちを行う。樹液がでるので、カブトムシなどの昆虫が集まる。

刈り払い作業
ササや低木類の繁殖を抑制して、草花が懇請するように働きかける作業。

堆肥場、アニマルヘッジ
落ち葉をためておきます。落ち葉の堆肥場は、カブトムシなどの昆虫の生息場となります。また、土砂の流失を防ぎます。

もやわけ(間引き)
里山整備の基本は、間伐と刈り払いです。


D 自然環境保全知識

自然保護

    現在は、自然を保存するという考えではなく、保全していくという考え方が主流になっている。


自然保護思想の歴史

     3世紀頃から      イギリス         ロイヤル・フォレスト          狩猟保護地域として

     19世紀         アメリカ         イエローストーン国立公園 1872  (世界ではじめて) 
                   カナダ          バンフ国立公園  1885 

20世紀          国際自然保護連合 1947  
                IUCN = International Union for Conservation of Nature and Natural     
               日本自然保護協会  1951  1949の尾瀬ケ原のダム計画がきっかけ
           
               尾瀬の所有者は、東京電力です。


日本の自然保護
1931      国立公園法の制定 
          我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海中の景観地を含む。)であって、環境大臣が自然公園法第5条第1項の規定により指定す          るものです。

1934      初めての国立公園の指定 
          同一の風景型式中、我が国の景観を代表すると共に、世界的にも誇りうる傑出した自然の風景であること

         
 3月16日は国立公園指定記念日
          1934(昭和9)年、内務省が日本ではじめて瀬戸内  ・雲仙・霧島の3ヶ所を国立公園に指定したことを記念して制定。

              
       
1957      自然公園法の制定
         国立公園法の廃止 
   
 国立公園法に代わる自然公園法が1957年(昭和32年) に施行され、
                            国立公園及び国定公園の根拠法となっている。  
1972      自然環境保全法
1993      環境基本法
2008      エコツーリズム推進法      エコツーリズムとは


自然保護を区分する5段階

放置(プレザベーション)           自然度が高く全く人の手が入っていない場所では、どんなことがあっても放置しておく。


防御(プロテクション)             文明の脅威から自然をプロテクトする。人口建造物を避け、人間が立ち入るとき、自動車
                            などで入ることを避ける。


保全(コンサベーション)            人間が管理して、良好な自然の状態にしておく。


復元(リストレーション)             自然のバランスが崩れたところを元に戻すために人間が手を入れる。


回復 再生(リハビリテーション)       人間の自然破壊により、完全に壊れてしまった自然を回復したり再生したりする行為。


「京都議定書」

1997年に結ばれた、CO2の削減義務を先進各国に課した「京都議定書」では、2008年、つまり今年から2012年までの5年間で、1990年を比較対象にして、平均およそ5.2%削減することが定められています。この期間のことを「約束期間」といいます。

北海道洞爺湖サミット
2008年は、京都議定書の「約束期間」がはじまります。北海道洞爺湖サミットでは、『環境・気候変動』が大きなテーマの一つになっています。

ガイド業務関連知識(各資格共通)


@ ガイド業務関連法

自然公園法

    自然公園法の制定
    国立公園法の廃止 
   
 国立公園法に代わる自然公園法が1957年(昭和32年) に施行され、
                       国立公園及び国定公園の根拠法となっている。 

    国立公園は、自然公園制度という体系の中に含まれる制度です。「自然公園」としては、
    「国立公園」
の他に「国定公園」「都道府県立自然公園」があります。


長崎県には、2つの国立公園、2つの国定公園、、6つの自然公園があります。
国立・国定・都道府県立自然公園の違い


自然公園の面積と数

国立公園 29箇所  国定公園 55箇所  都道府県自然公園 307箇所 
3箇所の自然公園の合計面積は、国土面積の14%を占める



道路運送法

対価を受け、荷物、人を含み、運送する場合、認可を必要とする。自分の繰るまい対価を受け、顧客を乗せた場合抵触する。
ガイドが、自分の車に乗り合わせることを前提に募集し、その費用を参加費に上乗せてはならない。これは、白タク行為となる。
旅行業法
旅行業者の業務範囲について定めた法律で、旅行業を認可事業と位置づけている。
山岳ガイドが、交通機関、宿泊施設を含めた形で、募集要項を作成して募集を行ってはならない。
鳥獣保護狩猟法
鳥獣保護を行い、狩猟を適正に行うことにより、鳥獣の保護蕃食、有害鳥獣の駆除等を図ることを目的としている。
森林・林業法
林業基本法(1964年)を抜本的に改正し、2001年6月、森林の有する多面的機能の発揮、林業の持続的健全な発展を目標とする
森林・林業基本法として制定された。
環境基本法
「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献すること」を目的として、1993年11月に施行され、
この法律のもと「環境基本計画」が立てられています。
自然保護法
自然保護法とは、自然保護に関する様々の法律の総称をいう。
具体的には、「自然環境保全法」「自然公園法」「文化財保護法」「種の保存法」「捕獲行為」「開発の規制」「保護区の設置」
などを定め他方率をさす。
河川法
河川管理のために設けられた法律。この法律は、管理者に河川整備計画の策定する責務を負い、策定にあたっては、
住民の意見を聞いた上で作成することとなった。ダム建設についても、河川法。また、土石・土砂採取など自然破壊
の規制を厳しく設けている。
エコツーリズム推進法


リゾート法(総合保養地整備法)

都道府県条例
1. 群馬県谷川岳遭難防止条例   その2

    2. 富山県登山届出条例   

3. 長野県観光案内業条例   
観光案内業者(以下「案内人」という。)の資質の向上と業務の適正化を図り、もつて観光案内業の健全な発達と観光客接遇の
向上に資することを目的とする。
4.自然保護条例
1960年ころからの高度経済成長に伴う自然破壊を背景に、現在、都道府県・政令指定都市で300以上の市町村が
自然保護条例を定めている。

5.環境基本条例
1993年11月に施行された環境基本法に則り、現在、都道府県・政令指定都市で500以上の市町村で制定されている。
1971年神奈川県は、国に先行すること20年、「良好な環境の確保に関する条例」を定めている。


生物多様に関する事項など知っておくべき国際条約
1.生物多様性に関する条約
1992年、国連環境会議(地球サミット)にあわせ、「気候変動に関する国際連合枠組条約」とともに採択。
日本は、1993年18番目の締結国になった。
2.ラムサール条約
特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約。
九重坊がづる『タデ湿原』 が登録されています。

  

世界遺産条約  その2
世界の文化遺産や自然遺産を人類全体のための世界遺産として、損傷、破壊等の脅威から保護し保存していくために、
国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とした条約です。
世界遺産には、自然遺産・文化遺産・複合遺産の3種類があります。

日本の自然遺産は、屋久島・白神山地・知床の3箇所です。


A ガイド倫理およびマナー

社団法人 日本山岳ガイド協会 山岳ガイド(自然ガイド)業務 基本マニュアル 

登山ガイド専門知識

@ 登山技術一般、山岳および登山道に関する知識 

A 山地、里山を中心とする植物、動物、鳥類の生態系などに関する自然の知識
  

B 気象の知識

登山と気象
登山をする上で、ある程度の気象に関する知識は必要です。登山に関する気象知識としては、「入山前の気象情報」の「入山後の観天望気」
に分けることができます。

もちろん、入山後であっても、山小屋、ラジオ、携帯等で、天気予報の入手をすることができますが、やはり既に山中に
いるのですから、「観天望気」を行わない手はありません。しかし、「観天望気」は、やはり少し勉強が必要なようです。「気象情報」については、
テレビやラジオの報道をそのまま聞くだけであれば、あまり知識は必要ありませんが、天気図から気象を予測するためには、

やはり、ある程度の知識が必要になります。特に、高層天気図に関しては、かなり勉強しないと難しいかもしれませんが、ある程度の知識がつけば、
自分なりに天候を予想できるようになります。私自身もまだまだ未熟ですが。


観天望気
・ 昔から伝わっている『ことわざ』やその地方にだけ伝わる『ことわざ』があります。
・ 実際に空(雲)を見て、判断するこのもあります。短期間の天気は、かなり確実に予想できます。

『Let‘s 観天望気』から引用させていただきました。

 世界気象機関発行の「国際雲図帳」では雲をその大まかな形から10の「類」に分類しており、これを十種雲形十種雲級と呼びます。

上層雲 名称 別名 写真 高度 特徴 降水
説明
巻雲
けんうん
すじぐも 5,000〜13,000m 薄く、細いすじ状 あり 低気圧や温暖前線の前に現れるときはまっすぐな線状のものが多く、「雨知らす」と言われて雨の兆しとなります。曲がったり、乱れたりしているものは「晴れ知らす」といわれ、明日も好天であることを告げています。
巻積雲
けんせきうん
いわし雲 5,000〜13,000m うろこ状 あり 丸みを帯びた小さい塊状の白い雲で、小石を並べたように空一面に美しく並びます。雲の仲間の内では最も美しいものの一つです。昔から詩や歌によく詠まれる雲です。巻雲と同じように小さな氷の粒からできています。時には水滴であることもあるようです。この雲だけが単独で現れる事は少なく、巻雲や巻層雲が変化しつつある時に現れることが多いようです。よって天気の変わり目を知らせる雲です。
巻層雲
けんそううん
うす雲 5,000〜13,000m ベール状、薄い なし 薄くした牛乳を空一面に流したような、薄い白色のベール状の雲で、小さな氷の粒からできています。一般にはうす雲と言われていて、写真にはっきり示すことは困難です。しかし、この雲が太陽や月をおおうと「ひがさ」「つきがさ」が現れます。天気が悪化する時に見られると言われますが、その的中率はあまり高くありません
中層雲 高積雲
こうせきうん
ひつじ雲 2,000〜7,000 m 波紋状、まだら あり 一つひとつの雲塊も大きく、白色か淡灰色をして、雲塊に陰影があります。規則正しく並ぶことが多いようです。巻積雲に次ぐ美しさがあり、太陽や月にかかると、色彩も豊かです。その美しさにより昔からめでたい雲とされています。西から東へ流れると天気はくずれ、東から西へ流れると天気は良くなると言う説もあります。塊が小さくなっていくときは好転する兆しで、逆に大きくなっていくときは、天気は下り坂です。
高層雲
こうそううん
おぼろ雲 2,000〜7,000 ベール状、層状 あり
広い
範囲に雨
全天にうす墨を流したような曇りの雲です。この雲を通して太陽や月がおぼろに見えることから「おぼろ雲」と言われています。全天をおおうと、日中でも陰ができなくなって、雨が降ることもあります。花見頃によく現れる「どんより曇り」「おぼろ月夜」は比較的薄いこの雲がかかったときです。
乱層雲
らんそううん
あまぐむ 地表付近〜2,000 多種多様な形 あり
比較的
長時間の雨
雲の中では一番厚く、太陽は完全に隠れ、非常に低い高度までたれこめてきます。低気圧や前線の付近に現れ、雨や雪を降らせます。ほとんどの場合、この雲が出る前に高層雲(おぼろ雲)が現れます。
下層雲 層積雲
そうせきうん
うねくも 地上付近〜2,000 うね状、全天を覆う あり
まれに
降水が
ある
大きな雲の塊が畑のうねのように行列したり、波状に浮かぶことがあります。積雲(わた雲)と層雲(きり雲)の合いの子のような雲で、浮かんでいる高さは最も低く、地面から2kmくらいまでてす。「曇り雲」とも言われ、雨や雪が降ることがあります。
層雲
そううん
霧雲 地上付近〜2,000 m 霧状、水平に広がる あり
霧雨の
可能性
あり
比較的一様な雲の層で、浮かんでいる高さはきわめて低く、山や湖などを埋め尽くしているあつい霧の層がこの雲です。その為、「きり雲」とも言われ、時には雲の切れ間から青空が見えることもあります。他の雲と違って、夜間の放射冷却で発生することが多く、日の出とともに次第に薄れ、消えていくことが多いようです。
対流雲 積雲
せきうん
綿雲 地上付近〜13,000 m 多くは綿状 なし 雲の底がほとんど水平で、上方に発達し、雲の頭はもくもくしています。その為に「むくむく雲」とも言われています。下から見ると白色で雲底に陰があります。これが発達してくると、雲の輪郭がさらにはっきりして、太陽に当たったところは銀白色、陰のところは黒さが増して、雄々しい雲になります。雷雲の卵です。
積乱雲
せきらんうん
入道雲 地上付近〜12,000m 非常に大きい上に向かって成長する あり
激し雨や雷を伴うことがある
積雲(わたぐも) が発達したものが雄大積雲です。雲の頭部が丸みを帯びている内は、どんな に大きく高くても積雲の一種ですが、雲の頂が 巻雲(すじぐも) の浮かぶ高さまで達して、雲頭が羽毛状に横に広がり、アサガオ状やカナト コ状になると積乱雲となります。雲底には雨足が見られ、激しい雷光・雷鳴・落 雷をもたらし、そのうち大粒の雨や雹(ひょう)、突風を伴う場合がよくありま す。


地上天気図


高層天気図

C 読図の知識

D 自然観察と解説に関する知識

E 積雪期の知識

F エコツーリズムなどの自然環境の保全や利用に関する知識


安全管理

@ レスキューに関する知識

搬出方法
ハーネス利用のザック搬送    
ザック搬送では、負傷者も救出者も最も楽で早い搬出方法であるが、
レッグループ付きハーネス以外に60センチスリング2本、カラビナ2本、短めのクッイクドローが1本必要となる。
ただし、その効果を考えると、ガイドであれば一般道の登山であってもこの装備を準備しておく価値はある。
なにごとにも体力がいる。ガイドは、体力だ。(K国際山岳ガイド談)

A 安全管理知識および危急時対応に関する知識

安全管理の三原則
・ 危険の予測とその排除
危険の状況、ほとんどの場合、事前に予測可能です。何が危険か、どうなれば危険かを予測して、その状況を排除することによって
ほとんどの危険は回避されます。


危険の要素
   
   自然的なもの  気象、地形など
   人工的なもの  道具の不備、不良、施設の不良
   人間的なもの  人間の不調要因
・ 危急時対応策の徹底及び訓練
訓練を繰り返し行うことにより、危急時対応の行動がより円滑に行われるようになる。
練習・訓練されることにより、自信を持って行動に移せる安心感が働く。
・ 参加者に対する自らの安全管理の徹底
参加者自身に安全への配慮を促す。
自分自身への配慮と他人への配慮が必要。


人為的な事故発生要因
事故発生要因を知ることにより、事故を未然に防ぐこと、事故を予防することが可能となります。

ヒューマンエラーという点から事故要因を分析しています。

1.危険軽視 慣れ                   見えなかった。聞こえなかった。気づかなかった。忘れていた。
2.近道本能 省略本能                大丈夫だとおもった。
3.無知、未熟練                    知らなかった。深く考えなかった。
4.単調反復による意識レベルの変化        疲れていた。
5.錯覚                          気づかなかった。分からなかった。
6.中高年の機能低下                 疲れていた。
7.場面行動                       無意識に手を動かしていた。
8.緊急時のパニック                  あわてた。
9.疾病、疲労     


ハインリッヒの法則(1:29:300)

    「1件の重大災害(死亡・重傷)が発生する背景に、29件の軽傷事故と300件のヒヤリ・ハットがある。」という警告として、
    よく安全活動の中で出てくる言葉です。

B 登山時の健康管理に関する知識

登山における健康管理を 「登山前の事前準備」 「登山中」 「登山後のケア」に分けて考えます。
「登山前の事前準備」
・身体面            
                  目標とする登山に向けたトレーニング(心肺機能 膝・腰の強化 寒さ 暑さ)
                  十分な睡眠・栄養(栄養補助食品含む)・休息
                  炭水化物と水分の意識的な摂取


・装備面
                  登山山域に適合した装備(脱水・低体温症の予防)
                  最新の装備で軽量化を図る(膝・腰の負担の軽減)
                  ストックの積極的な活用(膝・腰の負担の軽減・バランスの維持補助)

・山域の研究

                  事前研究で精神面の余裕を

    「登山中」

    ・身体面 
                        「十分な水分補給」 と 「十分な行動食」
                      ゆっくりと歩く(乳酸の抑制) 最大心拍数(220 − 年齢)の75%が目安
                        静荷重移動
                        適切なウェアリングで、体温調整をはかり、「低体温症」、「熱中症」を予防する。
                      凍傷予防として、乾いた靴下と手袋の着用に心がけ、肌の露出を少なくして、互いに確認しあう。
                      山小屋、テントでは、早めにの就寝に心がける。

  「登山後のケア」

   ・事後研究
                        「身体面」 「装備面」 「山域の研究」 の事後研究を行い不備や不足したところ強化に努める。

C 環境要因による疾病に関する知識

高山病(急性高山病)AMS Acute Mountain Sickness          ⇒  低酸素が要因
熱中症とは、体温の上昇による異常の総称
低体温症(ハイポサーミア)
凍 傷

D セルフ・レスキューに関する知識

生救命手当ての流れ その2