はじめに

 『ガイド資格』については、これから、社団法人 日本山岳ガイド協会 のガイド試験を受験する方の少しでも参考のためになればと公開しています。
私は、2008年6月29日の「登山ガイド」学科試験から受験いたします。最終的な目標は、「山岳ガイド」です。

 その過程を記録に残していきます。これからの受験者の一助になれば幸いです。


  山案内のガイド資格が、国家資格ではないことは、山をはじめたころから知っていました。
極論から言えば、現在でもガイドと本人が名乗れば、ガイド業を行っても法的には何ら問題は、ありません。

 現在でもそのような方は、大勢いらっしゃいます。しかしながら、屋久島などの一部を除いては、私のように新たにガイド業をはじめようとする場合は、社団法人 日本山岳ガイド協会の認定試験を受けられる方が多いようです。

 日本山岳ガイド協会は、2003年に設立されました。その設立の背景は、ガイド協会のHPをご覧ください。

 日本山岳ガイド協会は、日本で唯一の山岳ガイド資格認定団体ということですが、実際には、長野県や北海道に別の形での認定制度が残っているようです。
ただ、これまでガイド協会主催の講習に何度か出席して、いろんな情報を聞くところによると、今後は、日本山岳ガイド協会が実質的に唯一の山岳ガイド資格認定団体となっていく可能性が大きいと思っています。

 しかしながら、社会にきちんと認められるためには、国家資格となる必要があります。2003年に設立される段階で、既存のガイド協会に働きかけ、それらの上部団体として発足したわけですが、その働きがけに賛同しなかった団体、地域、個人がいたのではないでしょうか。

 全くの個人でガイドをされていた方には、その働きかけもなかったのかもしれません。
発足当初は、既存のガイドの既得権(現役ガイドとしての職業)もあり、書類審査で、ガイド資格が与えられています。これは、当然のことと思います。

 ガイド協会では、現役ガイドに3年に1度の更新研修が義務づけられています。その他にも、地域の傘下のガイド協会でも独自に実技講習が開催されています。

 私のように、新規にガイドを目指す方は、2004年以降は、学科試験と実技試験を受けなければなりません。その試験が、2008年6月29日の学科から始まります。

 日本山岳ガイド協会のシステムは、講習を受ける限り、想像以上に確立していると感じるところもありますが、そうではないと感じるところもありました。
しかし、確実にいえるのは、ガイド協会に所属しているガイドは、安全管理の意識、ガイドとしての責任感も概して高いのではないでしょうか。当然、ガイド業務関連知識や
ガイド技術についても、定期的な講習を通じて、自己研鑽されていますので、ガイドとしての資質は、ある一定のレベルで確立していると思います。

 これといった突出した登山経歴もない、私のような者が、新規にガイドを目指す立場では、ガイド協会の認定ガイド制度は、非常に助かります。
すでに、認定ガイドでなければ・・・・・・・という社会の流れもあります。そのために、現役のガイドが、費用と時間をかけて、受験していると思います。

 今後、日本山岳ガイド協会に所属していない団体、地域、個人についても、ガイド協会から再度働きかけ、それらの方々も賛同して頂き、将来、国家資格となれば、これまで以上に、日本のガイド業務の安全と資質の向上が望まれるのではないでしょうか。


ガイド資格の種類(2008.6現在)

分野 資格 職能範囲
自然ガイド 自然ガイド ステージ T 国内において、無雪期の森林・里山・高原をガイドできる。
自然ガイド ステージ U 国内において、四季を通じての森林・里山・高原をガイドできる。
登山ガイド 国内において、無雪期山岳、山地での良く整備された登山道。および四季を通じて、一部の難路を除く山地をガイドできる。
山岳ガイド 山岳ガイド 国内において、困難な岩壁、氷壁ルートを除き、全ての地域で季節を問わずガイドできる。
登攀ガイド 国内において、季節を問わず全てのガイドを行うことができる。
国際山岳アスピランガイド 国際山岳ガイドの管理下のもと同等のガイドができる。
国際山岳ガイド 国内および国際山岳ガイド加盟国において、法律の範囲内でガイドができる。

 詳細は、社団法人 日本山岳ガイド協会のHPで確認してください。

 2008.6より、自然ガイド分野の資格検定試験の内容が、大幅に変更となりました。
分かりやすく言えば、昨年までより、かなり合格しやすくなりました。その背景には、エコツーリズムの推進などにより、今後、自然ガイド分野のガイドの需要が見込まれるからです。
分野が、「自然ガイド」と「山岳分野」がありますのが、登山者のほとんどの需要が、『登山ガイド』まででまかなうことができると思います。

 当初、『登攀ガイド』の資格があるので、 『山岳ガイド』を取得しなければ、日本アルプスのガイドは、できないものと考えておりましたが、職能範囲からも分かるように、無雪期であれば、一般ルートはガイド可能なようです。しかしながら、「剣岳の別山尾根」は、一般ルートですが、現実的には、『山岳ガイド』並みの経験と技量が必要なのかもしれません。
 『登山ガイド』の職能範囲では、岩のゲレンデや沢登りなどのガイド、つまりロープを使うようなガイドは、できないようです。

 私の経験と技量であれば、これからどんなに努力と経験を積んでも、『山岳ガイド』までだと思います。
『山岳ガイド』であれば、私のこれまでの山行経歴のルートのほとんどが、ガイド可能なようです。せめて、簡単な岩登りや沢登のガイドを目指して、『山岳ガイド』までの資格にチャレンジしていきたいと考えています。

2008.6  登山ガイド資格受験 スタート

検定試験 科目 主題内容 時期

場所
備考
学科 基礎的
知識


50分

10:00〜10:50
@ スポーツ科学の知識 2008.6.29


9時30分集合

東京都
千代田区
麹町

全資格共通
A 地球物理・気象・動植物・地理・地質・地形に関する知識
B 農山村の経済と歴史・民族の知識
C 山地・里地・里山の環境知識
D 自然環境保全知識
ガイド業務
関連知識


50分

11:10〜12:00

@ ガイド業務関連法
自然公園法 道路運送法 旅行業法 旅館業法
 鳥獣保護法 森        林・林業法 環境基本法 自然保護法
A ガイド倫理およびマナー
登山ガイド
専門知識


50分

13:00〜13:50

@ 登山技術一般、山岳および登山道に関する知識  資格別
A 山地、里山を中心とする植物、動物
   鳥類の生態系などに関する自然の知識
B 気象の知識
C 読図の知識
D 自然観察と解説に関する知識
E 積雪期の知識
F エコツーリズムなどの自然環境の保全や利用に関する知識
安全管理

50分

14:10〜15:00
@ レスキューに関する知識
A 安全管理知識および危急時対応に関する知識
B 登山時の健康管理に関する知識
C 環境要因による疾病に関する知識
D セルフ・レスキューに関する知識
小論文
 
50分


15:20〜16:10
 ・ ガイドの役割や責務、およびガイドの資質について問う
 ・ 自然知識と説明能力を問う


       (小論文は、800文字以内 持込不可)
実技 無雪期ルートガイディング
自然観察指導技術 安全管理術
@ 無雪期でのルートガイディング技術と歩行技術 2008.9.6−7

丹沢周辺

認定要請指導者による
検定での
免除可有
A セルフレスキューとロープ操作、固定ロープの方法
B 自然観察と解説および安全管理
積雪期ルートガイディング
自然観察指導技術 安全管理術
@ 積雪期でのルートガイディング技術と歩行技術   2009.2.14-15

北八ヶ岳
A 雪上での用具の使い方、指導能力
B キックステップ技術およびステップカッティング技術
C 氷上歩行とアイゼン等器具の使用技術
D 自然観察と解説および安全管理
義務講習 レスキュー技術 基礎 @ 搬送技術 2008.10.18-19

丹沢周辺
2008年から
検定なし

義務講習
のみ
A 引き上げ技術
B 降ろし技術
C 応急処置と幕営技術
雪崩対策技術 基礎 @ 雪崩予知技術 2009.1.28-29

北海
A 雪崩からのレスキュー技術と幕営技術