2008年7月15日 知床岬

期 間:平成20年6月30日 〜 7月31日

末永単独

 

 6月29日に、東京都内でガイド学科試験を受験後、そのまま北海道にガイド登山の下見と知床エクスペディションへの参加のため約1ヶ月間滞在しました。


羅臼岳 硫黄岳

6月30日  

羽田空港から女満別空港へ、バスへ宇登呂へ移動。
知床自然センターと知床五湖を見学後に、岩尾別の木下小屋宿泊。素泊まり1500円。露天風呂あり。

7月1日   三ツ峰で幕営

5:00発 岩尾別から羅臼岳へ。
三ツ峰で幕営予定なので、ゆっくり花の写真をとりながら行動する。長崎県大村市からのご夫婦とお会いした。
『岐阜の山と花のアルバム』(羅臼岳 2008/06/30・02 ) の中村氏に、三ツ峰の幕営地でお世話になりました。

写真を誤って消去してしまいましたので、中村氏の(羅臼岳 2008/06/30・02 ) で硫黄岳付近にしかない貴重な知床スミレをご覧ください。

      7月1日 羅臼岳

7月2日   三ツ峰で幕営  

3:00発 硫黄岳往復。知床スミレを鑑賞。硫黄岳は、浮石多く危険と感じました。

      7月2日 硫黄岳

7月3日

5:00発 羅臼へ下山。途中、2箇所の雪渓があり、特に屏風岩付近の雪渓は、かなり急です。毎年、事故が発生しているとのことです。
羅臼側の登山道を使う登山者は、現在はほとんどいないようです。
7月中は、ピッケル・アイゼンは、必修です。
私は、両方とも持たず、おまけに軽登山靴でしたので、かなり緊張しました。

夕方、羅臼国設キャンプ場で『知床エクスペディション』の新谷さんと合流。

民宿『万月堂』で4日からの4泊5日の知床半島シーカヤックツアーのブリーフィングがありました。
グレートジャーニーで、南米パタゴニアのシーカヤックガイドも行った新谷さんは、個人装備は、最小にしなければならないと話されていました。
ミニマニストだそうです。

新谷さんのオホーツクの舟歌 歌詞 (森繁久彌You Tube) (倍賞千恵子You Tube)は、すばらしかったなあ。
できれば、バイオリンも聴きたかったですね。



知床エクスペディション



7月4日(1日目)

相泊(羅臼側)からの出艇予定でしたが、風が強く宇登呂側に移動しました。

羅臼岳から知床半島先端部を望むと、「オホーツク海の宇登呂側」と「太平洋の羅臼側」は、全く天候が異なることが分かります。

7月4日 宇登呂からいぜ出発

この写真は、万月堂のブログから転載いたしました。


知床半島地図(幕営地点表示 1日目の幕営地点は、特定できませんでした。)

3泊目 4泊目(停滞) (海岸トレックング時に7月15日撮影)

5泊目幕営跡地(海岸トレックング時に7月15日撮影)



7月5日(2日目)

4日と5日は、「オホーツク海の宇登呂側」で風の影響は、ありませんでした。

7月6日(3日目)

知床半島先端部をかわしました。

「太平洋の羅臼側」に入ったとたん、強風の洗礼を受けます。ガイドの新谷さんの指示で、可能な限り沿岸をこぎます。
私は、この日からウォーターフィールドカヤックスの新艇『知床』に乗っています。新艇のカヤックを岩礁地帯で漕ぐのは気を使いますが、そんなことに遠慮していれば、知床は漕げないかも知れません。

知床には、天草のシーカヤックアカデミーでも試乗しています。
ウォーターフィールドカヤックスの説明にもあるように、大きめのコックピットですので、荒れた海での瞬時に乗り降りするのには、とても使いやすいです。

今回のツアーの写真がデジカメの誤操作で消去されたのがとても残念です。本当は、ツアーをきちんとまとめて、新谷さんとウォーターフィールドカヤックスの水野社長にもお知らせしたかったのですが、残念。

ちなみに私は、ウォーターフィールドカヤックスのマリオンを持っています。このマリオンで、せめて九州一周を行いたいのですが日程が確保できるでしょうか?


7月7日(4日目)

風が強く停滞しました。半島先端部までトレッキングを行いました。
ものすごい風でした。


7月8日(5日目)

なんとか風も漕げる程度におさまり、出発です。
しかし、実際に漕いで見ると、まだかなり風が残っていました。
安全策をとり、予定外の幕営となりました。



7月9日(6日目)

この日に、飛行機に乗って帰宅する参加者もいるために、早朝3時過ぎからスタートです。
途中、トイレのために2回程上陸した程度で、霧の海を相泊まで一気に漕ぎました。
シーカヤック2度目の女の子も一人艇で漕ぎきりました。
ガイド2名参加者6名が6日間、一丸となって行動したツアーでした。

ありがとうございました。


『知床エクスペディション』に参加して

 『知床エクスペディション』に参加した理由は、平戸一周のシーカヤックツアーを行いたいという気持ちがあったからです。
今回のツアーで勉強になったことは、


1.焚き火の仕方
  ステンレス(1m×1m)で火床全体を囲んで焚き火をしているので、焚き火の跡が残らず環境にやさしく、熱効率も良く、焚き火を移動することが可能。
  (写真がないのが残念です。)

2.パッキングの仕方
  防水バックに、そのままシュラフを入れるなど。

3.天候判断及びその行動基準
  観天望気及び天気図作成して、その地域の天候をガイドなりに予想して、行動の基準としている。

4.安全性
  シーカヤック本体が痛むことを躊躇しない。安全が何事にも優先。

5.沿岸を漕ぐ
  沿岸を漕ぐことで、危急時の対応が可能。景色も十分に楽しむことができる。

6.余裕のある日程
  当初から、余裕のある日程を組んである。
  そのことと徹底した安全管理により、初心者でも参加が可能。

7.装備の充実
  個人装備は、参加者が準備することになっているが、主催者側でも十分な個人装備を準備している。
  装備が不備な参加者には、無償で貸与している。ドライスーツなど。



植別川に渓流釣へ

7月10日

民宿『万月堂』のご主人、杉山さんに植別川に渓流釣へ、同じく知床ツアーに参加者したニュヨーク在住の小野山さんとともにお世話になりました。

ニュヨーク在住の小野山さん

民宿『万月堂』の番犬 『ガッシュ

ヒグマの糞があちらこちらに

杉山さんが、再び15日に植別川に行った際に、ヒグマと遭遇したそうです。万月堂のブログを確認ください。




知床岳から半島へ

7月11日

 羅臼ビジターセンターに寄って、熊スプレーを購入した後、杉山さんに相泊まで送迎していただきました。
今日は、新谷さんのベースにもなっている木下番屋に泊めてもらいました。

大木番屋

今夜は、オショロコマご飯です。


 

お風呂は、相泊温泉でした。


7月12日

早朝まだ、雨が続いています。出発は、雨を避けて9時少し前になりました。
山行期間が長くなると雨の中の行動は、なるべく避けたいものです。多少停滞しても晴れ間に行動したいと思います。

カモメ

このような海岸を歩きます。

 

ハマナス

知床旅情にも出てくる「ハマナス」は、7月中旬満開でした。

エゾスカシユリ

カンゾウの花に似ていますね。

観音岩への登り口

雨上がりでしたので、残置ロープを頼りにしましたが、ロープが古いので注意が必要です。

観音岩の観音様

観音岩には、小さな観音様がたくさんありました。

観音岩の観音様

ウナギベツ川

知床岳へ

ウナギベツ川近くの急な尾根を残置ロープを頼りに登る。雨上がりで、ぬかるんでいて、非常に登りにくいですね。

ハマエンドウ?

標高400m付近の青沼

昼過ぎに青沼で早めにテントを張って、雨でぬれた装備品を乾燥させました。。

青沼の空

ヒグマ対策

食料は、ヒグマ対策のために、カヌー用の防水バックに入れて、写真のように木からつるしました。


7月13日

知床沼を目指します。

エゾノキリンソウ

イワブクロ


エゾコウゾリナ?

大崩尾根

ハイマツの台地

大崩尾根を過ぎるとハイマツの台地となります。

ゴゼンタチバナ

知床沼

知床沼にテントを張り、すぐに知床岳を往復。約7時間30分かかりました。

知床岳を望む

知床岳山頂

知床岳は、ニュヨーク在住の小野山さんが好むような山(標識は皆無です。山頂には、三角点のみです)です。
正式な登山道は、ありません。

登るには、ヒグマとの遭遇の恐怖と戦わなければなりません。
肉体的より精神的に辛いと思います。
登山道は、ヒグマの糞だらけでした。

知床岳山頂からの硫黄岳

知床岳山頂からのオホーツク海

ヒメシャクナゲ

チングルマ

エゾツツジ

ギョウジャニンニク

ギョウジャニンニクは、ラーメンや味噌汁に入れて食べました。
北海道では、エキノコックスの問題がありますので、ちぎってそのまま食べることは、避けた方が良いようです。
キタキツネには、ほぼ100%エキノコックスが寄生しているとのことですので。
ギョウジャニンニクに、オシッコがかかっていたら大変です。
でも、そのまま何度か食べてしまいました。だいじょうぶかな。

7月14日

霧の知床沼

14日も朝から雨です。おまけに霧で、ほとんど視界がありません。
この状態で、ここから先、ヒグマの生息する地域の全く道がない尾根筋を、ハイマツの藪こぎを地上2mの枝伝いに単独でいける自信はありません。
あっさりとあきらめ、相泊に戻ることにしました。

観音岩

海岸まで降りてくると、ガスも晴れ天気も良かったので、4時間ほど装備品を乾燥させて、海岸から半島を目指すことにしました。
ちょうど、干潮しか歩けないところがあり、いい潮待ちの時間となりました。

タケノコ岩

モイレウシ湾の少し手前

モイレウシ湾の少し手前で、山側から海岸を巻いているときに、大型のヒグマとニアミスしました。
理由は、分かりませんが、ヒグマが岩陰から走りながら山側に駆け上ってきました。
私は、山側から海岸へ降りている最中だったので、鉢合わせです。
3m位で、ヒグマが慌てて逃げてくれましたので、何事もなく終わったはずなのですが、私も慌てて、熊スプレーを発射した。
なぜだか分かりませんが右手の甲にカプサイシンがかかってしまい、あとが大変でした。
その状態は、とても言葉で言い表すことができません。おまけにコンタクトなので、さらに大変でした。

とにかく、海や川につかりましたが、刺激がおさまらず、近くの番屋に緊急避難しました。
番屋の方は、とても親切で、お風呂だけではなく食事までご馳走になりました。本当に助かりました。


7月15日

一晩寝て、体調も落ち着いたので、半島先端部まで予定通り歩きます。
ここでも、干潮を待って出かけました。

お世話になった番屋

知床の昆布

剣岩

ここは、干潮でなければ歩くことはできません。知床半島までのトレッキングは、潮の干満に合わせての行動となります。

ペキンノ鼻

滝ノ下

念仏岩付近の岩屋

念仏岩の難所

カブト岩の難所

カブト岩からの下りの残置ロープは、撤去されています。
最初の下りだしが危険です。注意してください。

カブト岩

奇岩がいっぱい

赤岩

お知らせ!

平成20年7月TBSの「どうぶつ奇想天外」という番組取材撮影が知床でありました。
今秋10月「知床羅臼1時間スペシャル」になるとのことです。



知床半島先端部

2008年7月15日 知床岬

知床半島先端部の台地

ハンゴンソウ

ハンゴンソウは、エゾシカの嫌う植物なので、知床半島に多いようです。

赤岩の番屋

この番屋には、夏の間、80過ぎのお婆ちゃんが一人で暮らしています。
番屋の方としばらく談笑して、先を急ぎます。

カブト岩を過ぎたところで、幕営の準備をしているとヒグマが頻繁にうろついているので、番屋の倉庫で寝るようにすすめられ、お言葉に甘えました。
この番屋では、朝食まで頂きました。感謝。

7月16日

潮の関係で、早朝4時から行動しました。

エゾカワラナデシコ

エゾアヤメ

ペキンノ鼻

知床エクスぺディションでは、荒天の際にシングル艇は、このペキンノ鼻を担いで越える場合もあるようです。

ペキンノ鼻から

8時に、前日お世話になった番屋に到着。
昨日のお礼を言うと、業者の方が船で相泊まで戻るので、その船に乗って帰るようにすすめられ、ありがたく好意甘えることにしました。
実は、ヒグマに遭遇した箇所を歩きたくなかったのです。助かりました。
まかないのおばちゃんから、2食分の弁当までいただきました。

船上からのモイレウシ湾

ヒグマと遭遇したのは、ちょうど上の写真の左側の岩場です。
カプサイシンの被害だけで良かったです。

相泊から、羅臼まで業者の方の車に便乗させていただき、羅臼に来ていた新谷さんの車で、民宿『万月堂』に向かいました。

新谷さんは、明日から次のツアーです。

7月17日

新谷さんが、女満別空港にツアー客を迎えに行くついでに、斜里駅まで乗せてもらいました。
JRで、美瑛まで移動してYHに宿泊しました。




大雪山縦走




7月18日

吹上温泉(白銀荘)

JRで上富良野へ移動。上富良野から吹上温泉へバスで移動。


疲れがたまっているようなので、ここで幕営です。
温泉に入り、休憩室で仮眠。

深夜、大雨となる。疲れているので、翌朝も雨であれば停滞と心に決めていました。


吹上温泉のテントサイト(1人 500円也)

7月19日

 この日も明け方の雨のためにゆっくり出発です。
すでに出発して20日あまり経過しているの中だるみ?
と思いきや、どうも体が重たい。なぜかザックがとても重たく感じてしまいます。

吹上温泉から十勝岳へ

分岐点標識

十勝岳山頂

十勝岳山頂で、完全に体調を崩していることを自覚して、今後の行動を思案します。
とりあえず、美瑛富士避難小屋を目指して、15分位に1回の休憩となってしまい、仕方なく雪渓が流れている付近に幕営しました。
その晩は、体調が悪いせいか、とても寒く感じられました。


7月20日

10時過ぎから行動して、昼前に美瑛富士避難小屋着。
この日から24日の朝まで、美瑛富士避難小に停滞。
これまで25年以上、登山を継続してきてはじめての体調不良による停滞です。。
この間、天候は、梅雨のように雨ばかりでした。

本来ならば、無理しても下山して帰りたかったのですが、特別割引の航空券で変更がきかず、なんとか小屋の停滞で、体調回復を待ちました。
幸いなことに、この小屋を最後に、下山される方が多く、食料と燃料を分けて頂き、4日も余分にすごしましたが、その後、予定通りの縦走ができました。

イワヒゲ

ハクサンチドリ

美瑛富士避難小屋

7月21日

停滞

7月22日

停滞

7月23日

停滞

小屋が1人になってからは、小屋内部にテントを張って少しでも暖かくしました。


7月24日

4日間お世話になった美瑛富士避難小屋

オプタテシケ山

美瑛富士避難小屋から、このオプタテシケ山を往復して下山する方が多いようでした。

双子池キャンプ地

双子池キャンプ地は、雨が降ると水没してしまいそうな幕営地です。

縦走路は、こんな感じ

チシマギキョウ

三川台手前で幕営

水場は、ありませんでしたが、良い広場があったので、ここで幕営しました。

ヒグマ対策

ヒグマ対策で食料は、テントの外へ。

知床経由で来たせいか、大雪山は、登山口でもヒグマに対する注意喚起は、それほど目立つような案内はなかったような気がします。

7月25日

三川台

チシマノキンバイソウ

ミヤマリンドウ

三川台のカール地形

三川台の縦走路

縦走路

エゾツツジ

南沼

トムラウシ山

トムラウシ山から北沼へ

北沼

エゾオヤマノリンドウ

コウメバチソウ

アオノツガザクラ

ミヤマキンバイ

エゾコザクラ

エゾヒメクワガタ

チシマツガザクラ

エゾノツガザクラ

チングルマの群落(忠別岳避難小屋付近)

チングルマの群落(忠別岳避難小屋付近)

忠別岳避難小屋宿泊。


7月26日

忠別岳避難小屋は、縦走路から少し離れているので、縦走路まで登りかえさなければなりません。

忠別岳

高山植物の女王「コマクサ」

忠別岳避難小屋

キバナシャクナゲ

忠別岳

縦走路

ワタスゲ

エゾゼンテイカ

高根ケ原より旭岳を望む

高原沼

いかにもヒグマがいそうな雰囲気です。

チシマゲンゲ

タカネトウウチソウ

トカチフロウ

白雲岳避難小屋付近のお花畑

タカネオミナエシ


天気も良かったので、昼には、白雲岳避難小屋の幕営地にテントを張り、装備品を乾燥させました。
ここの水場は、管理されていてとてもきれいでした。


7月27日

白雲岳避難小屋

旭岳への登路

旭岳山頂からの旭岳温泉

  

緯度経度

GPSの緯度経度と国土地理院の緯度経度が、完全に一致しています。
最近のハンディーGPSの性能の良さは、すごいですね。

GPSは、登山中ほとんど使用しません。
使い方を忘れないように時々使うだけですが、最近は、せっかく持っているので、万一のために持ち歩いています。

旭岳

観光客の方も、旭岳に登っていますが、さすがに山頂のピストンでした。

旭岳温泉のYHに連泊して、休養。

7月28日

旭岳ビジターセンターへの自然観察会に参加しました。

ベルグマンの法則

ブラキストン線

7月29日

旭岳温泉から層雲峡へ縦走です。

中岳温泉

メアカンキンバイ

黒岳

黒岳山頂

層雲峡

層雲峡

層雲峡のYHに宿泊。


7月30日

層雲峡から札幌へ移動。
札幌のYHに宿泊。


7月31日
札幌から福岡経由で帰着。