八峰からの前穂高北尾根【H17.5.3】

 平成13年:五竜岳 〜 唐松岳縦走、平成15年:鹿島槍ケ岳東尾根、平成16年:白馬主稜、そして今回の前穂高北尾根と4回目の春山となった。
春山は、冬山と異なる危険もあるが、やはり凍てつく寒さから解放されるので、冬山と比較するとかなり精神的に楽だ。しかし、ひとたび荒天となると冬山に逆戻りしたよう天候となる事もあるので、心構えと準備は必要だ。

H17.5.2(月) 〜 5.6(金)

CL:林
SL:末永

今年も平成16年:白馬主稜のメンバー林・栗山・末永の3人を予定していたが、栗山氏がトレーニングによる腰痛が原因で不参加となり、林・末永の2名となった。
平成16年の夏山からアプロチーには、自家用車を使用しているそのため、「マイカーによる往復」と「山行」と3つに神経を使う事となる。下山しても長崎まで戻る事を考えれば最後まで気が抜けないものだ。しかし、費用面を考えると二人で中部山域まで出かけてもJR使用の場合と比較して半額程度で済むようだ。

 5.2(月)

 仕事を終えてから一路長野へ

 5.3(火)

 7時ごろに沢渡到着。長崎から約14時間を要したこととなる。
沢渡の駐車料金は、1日500円。タクシーで乗り合って上高地へ。同乗した2名は、地元松本の岳人で前穂北尾根のルートのアドバイスを受けることができた。

 事前に松本警察署宛に郵送していた計画書を上高地で入山しましたと言う意味をこめて登山届けのポストへ入れる。

上高地発 8:00 ⇒ 徳沢 9:30 ⇒ パノラマ新道分岐 11:30 ⇒ 八峰着 15:45

 早朝の澄みきった空の下、梓川沿いを徳沢をめざして歩く。 徳沢までの6.5キロを90分で歩く。
徳沢には、この時間でも多くのテントが張ってある。下山してきた登山者のテントか、それとも単なるハイカーのテントかと思ってしまう。
ここで、大休止をとって、日焼け止めのクリームを入念に塗っておく。

徳沢園

徳沢からしばらく歩いた新村橋で梓川の右岸へ渡り、そのまましばらく北上する。

梓川沿いから望む穂高連峰

梓川沿いから望む慶応尾根と前穂北尾根(画像にマウスを置くとルートが表示される)

 慶応尾根に取り付く予定であったので、奥又白谷分岐で地図をだして十分に検討する予定でいたが、単独の登山者のあとをそのまま歩いてしまい、パノラマ新道から取り付くこととなってしまった。事前の情報で、沢沿いからのアプローチは、雪崩と落石に注意が必要とあり、冬期に登る事もあるかもしれないので、慶応尾根の末端から取り付くことにしていた。ちなみにこの単独の登山者は、我々より1時間程遅れて八峰へ登りついたが、パノラマ新道より西側から取り付いたためにかなり苦労したようだ。

パノラマ新道から前穂北尾根へ

 奥又白谷から慶応尾根まで、途中休憩なしで登りきるつもりでいたが、約2時間を要した。

慶応尾根から望む蝶が岳

 蝶が岳は、アルプスの冬山入門の山となっているが、私が平成9年の正月に登った時は、30キロ近くのザッツを背負っていたがそのまま飛ばされるような強風が吹き、稜線には出たが、蝶が岳のピークを踏むことはできなかった。

八峰からの涸沢

 何故かこの角度へ涸沢を見る事ができたたことで、ここまでの苦労が報われた気がした。テントは、何張あるのだろうか。

八峰からの槍ヶ岳

 前穂北尾根を背景にポーズ(八峰にて)

八峰山頂

 3日は、16時前に行動を終了していたので、春の陽気のもとゆっくり休むことができた。

 5.4(水)

八峰発 5:00 ⇒ 前穂高 13:30 ⇒ 小梨平キャンプ場着 17:00

八峰からの前穂高北尾根(画像にマウスを置くとルートが表示される)

五・六のコル

 五・六のコルで涸沢からの岳人と。

五峰を登る単独者の登山者

四峰(画像にマウスを置くとルートが表示される)

 前穂北尾根の核心は、一般的には三峰と言われているが、人によっては四峰がより困難と感じる人も多いようだ。我々より先行するパティーは、四峰の中段からのルートを涸沢側の岩壁や、中央よりやや奥又白側のチムニーを登っていた。しかし、我々は、「稜線沿いから上部で奥又白側の雪壁を登る。」の言葉を忠実に守る。先行した二人パティーも「奥又白側の雪壁」と言葉に出して確認しておきながら、奥又白谷分岐での我々のように、他の先行パティーのあとを追ってしまったようだ。後続のパティーは、奥又白側の雪壁を登ってきた。

四峰の雪壁を登る林氏

 奥又白側の雪壁を登る林氏。この雪壁は、ノーザイルでも登攀事態は問題ないが、もし滑落した場合は致命傷となりかねないのでザイルを出した。舗装した道を歩いていてもつまずいて倒れる事もあるので、ザイルを出せる状況の時は今後も積極的にザイルを出すようにしたい。その上で、よりスピディーな行動となるようなトレーニングが必要だ。

四峰の雪壁を登る林氏(上の写真)を確保する末永

三峰を登る四人パティー(画像にマウスを置くとルートが表示される)

 核心の三峰の登り。我々は、先行するパティーより、さらに奥又白側を登った。

三峰から四峰

 三峰から先もアンザイレンのまま行動する。二峰の下りは、懸垂下降を行う。最後の一峰の登りもスタカットで登った。
前穂山頂から少し明神岳の方へ歩き、奥明神沢を下山する。尻セードで下りたかったが、あまりに急で歩いて下るしかなかった。技術があれば、グリセードでもしたかったのだが日本の西の端の長崎県人の我々には何せ経験がないのでどうしようもない。

 この時期、岳沢のテント場に多くの定着登山の岳人がいるのは知らなかった。近辺のルートを登りながら何日過ごすのだろうか。
予定通り、17:00に小梨平キャンプ場に到着。汗を流して明日の運転のために十分に睡眠をとる。