阿弥陀岳【H15.12.28

   林さんが対馬へ転勤となって1年目、GWの鹿島槍ヶ岳東尾根、夏休みの北鎌尾根に引き続き、今回の正月休みに八ヶ岳のバリエーションルートを登ることができた。同じ目的を持って、いっしょに対馬でトレーニングできるので都合が良い。毎日隣り合わせで仕事も行なっているのだが、山行の連絡はメールですることが多い。対馬にもADSLが導入されて本当に良かった。あとは、林さんが地図ソフトカシミールを使ってくれればより詳細な打ち合わせがメールでやり取りできるのだが。

期間 : 平成15年12月27日(土) 〜 12月31日(水)
              CL : 末永
              SL : 林

28日
      阿弥陀岳南稜
29日  
      阿弥陀岳北稜
      赤岳主稜
30日
      石尊稜

12月27日

   ジェットホイル、バス、新幹線「のぞみ」、急行「ちくま」、JR在来線を乗り継ぎ翌朝茅野駅着。10月から新幹線「のぞみ」に自由席ができたために乗車券を事前予約しなくて良くなったことが対馬在住の我々にとっては都合が良くなった。急行「ちくまで」の移動については、3回目となり既に定着した感がある。身体的には非常に大変だが、費用と入山初日の行動を有効に使うには現在のところベストの交通手段のようだ。費用面を考えるとマイカーが望ましいが、対馬在住の間はいたししかたない。

12月28日

   舟山十字路 1617m 7:20 ⇒ 旭小屋 1732m 8:10 ⇒ 立場山 2363m 10:00 ⇒ 青ナギ 2348m  ⇒ 無名峰 11:45 ⇒阿弥陀岳 2805m 15:30 
  ⇒ 行者小屋2346m 16:30 テント泊

   茅野駅からタクシーで、雪が少なかったため問題なく舟山十字路まで乗り入れることができた。旭小屋までは単調な林道歩きとなる。

旭小屋内部

   旭小屋は、古いが大切に使用してあるようで何とか現在でも使用できるようだが、雨漏れ等はだいじょうぶだろうか?

旭小屋からの樹林帯の急登

   旭小屋からは、樹林帯の急登を登る。雪が少なくアイスバーン状態で歩きづらい。林さんは、普段持ってるストックがなかったので私以上に歩きにくかったと思う。

立場山山頂にて

   立場山山頂で40分程の大休止を取る。あまりに長く休憩したために、他の指はなんともないのにマムシ咬傷にあった右手薬指がちぎれるほど痛くなった。治癒することはないのだろうか。今回は山行前からニンニクとビタミンEを摂取し、凍傷予防薬のヒルロイドもしっかり塗りこんでいたのだが。時間が解決してくれることを期待するのみ。

阿弥陀岳南稜

   立場山をすぎると視界が開け、荒々しい岩稜をまとった阿弥陀岳が正面に現われる。その岩稜が阿弥陀岳南稜。

阿弥陀岳

   青ナギが望む阿弥陀岳の全景。

完全装備の林さん 青ナギ手前にて

P3手前の稜線上にて

  平成14年1月に登った際は、南稜の核心部P3「広河原3ルンゼ最上部のガリー 」は雪があり、念のためにザイルを出した程度といった状態だったが、今回はガリーが氷化していて困難であった。南稜は、雪が少ないと少し難度があがるようだ。平成15年12月現在、フィックスロープもあり支点も整備されているので問題ない。

霞んだ富士山が美しかった

阿弥陀岳山頂にて

   昨年も阿弥陀岳に登った林さんいわく『昨年より1mは雪が少ない。』中岳沢を下り行者小屋を目指す。

夕日に映える大同心と小同心

   28日は、雲ひとつない快晴で夕刻、行者小屋から見る横岳西壁の岩峰が美しかった。

年末の行者小屋のテント場

   行者小屋前のテント場は、雪が固められているために整地せずに快適なテントサイトを求めることができた。



最後の雪壁

29日

行者小屋 5:30 ⇒ 取付 7:00 ⇒ 阿弥陀岳山頂 8:00

   早朝5時30分行者小屋をヘットランプをつけて出発。中岳沢を登り途中からブッシュを分け北稜を目指す。ジャンクションピークよりかなり上部に出る。第一岩峰の少し手前で稜線へ。

第一岩峰 林さんのリードで

   第一岩峰から行者小屋を望む

   南八ヶ岳で最も難易度が低い冬期バリエーションルートということだが、長崎県人の我々にとっては、冬期登攀はなじみが薄く緊張の中取り付く。
支点も最近整備されている事と無風状態であったことが幸いして、楽しみながら登る事ができた。

最後の雪壁を登る林さん



赤岳主稜全景

29日

阿弥陀岳山頂 8:15 ⇒ 中岳 ⇒ 取付 9:45 ⇒ 終了点 14:00

   取付手前で順番待ちをしている間に登攀のため、ダウンのベストを着込む。登攀中は少し暑くなるくらいに着込む。縦走時に比べて長袖下着とダウンベスト、タイツをよけいに着込んだ。

取付

   前のパティーは、チムニーを避けて左から巻いていたが、我々は、セオリー通りに?チョックストーンの下を抜けてチムニーを行く。

下部岩壁

中盤から上部岩壁

リード中の末永

   中盤から天気が崩れ、上部岩壁では吹雪の中で順番待ちとなり、冬壁の洗礼を受けることとなった。午後2時吹雪の中登攀終了。すぐに赤岳展望荘に逃げ込み暖をとる。1時間ほど休憩して、台風姿勢をとりながら文三郎道から下山。登攀中に台風姿勢をとるような吹雪になったらと思うと怖くなる。



上部岩壁1ピッチ目

30日

行者小屋 6:30 ⇒ 取付 8:00 ⇒ 終了点 15:00

   二人とも前日の文三郎道での吹雪が頭に残り、全面ガスがかかる中登攀に出るのに躊躇して出発が遅れる。6:30にとりあえず行ける所までと出発。石尊稜へのアプローチで少し迷いはしたが、日ノ岳ルンゼを少し登ってから稜線へ出る。ガスも晴れてきて無風状態となり条件も好転。しかし、出だしが遅れたことで最後まで順番待ちに泣かされる結果となった。

  取付からの 1ピッチは、明確なビレー点があったが前のパティーがそのままザイルを伸ばしていたのでそのまま登ったが、本来右上するところを直登してしまい、結果的にこの部分が今回の山行を通して最も困難に感じられた。

  その後は、ブッシュ混じりのリッジを行くことになるが、コンテでそのまま登っていたがザイルが木に引っかかり時間を要す。途中からザイルを片付け先を急ぐ。

上部岩壁1ピッチ目

   上部岩壁でかなりの時間を待つ。天気が最後まで持ったから良かったものの昨日の事があったのでヒヤヒヤものだった。

   縦走路に抜けてからは、地蔵尾根を下り行者小屋へ。途中、ピッケルを落としたために懸垂で回収するハプニングがあり行者小屋着16:30。早々にテントを撤収して、美濃戸口を目指す。美濃戸山荘で腹ごしらえをして、20:10八ヶ岳山荘着。時間待ちをお願いしていた風呂で汗を流し仮眠室で就寝。

31日

   早朝、5時15分にタクシーで茅野駅へ。新幹線を乗り継ぎ帰省する。