二の沢の頭から望む東尾根核心部

期間 : 平成15年4月25日(金) 〜 4月29日(火)
              CL : 末永
              SL : 林

4月26日(土)

大谷原 1080m 6:00 ⇒ 標高1400m 7:32 ⇒ 一の沢の頭 2003.9m 10:30 ⇒ 二の沢の頭 2177m 12:20 ⇒ 第一岩峰 2416m 16:30 幕営

4月27日(日)

第一岩峰 6:00 ⇒ 第二岩峰 2572m 9:20 ⇒ 荒沢の頭 2708m ⇒ 北峰 2842m ⇒ 南峰 2889.1m 12:10 ⇒布引山 2683m 12:55 ⇒
冷池山荘 2380m 13:50 ⇒ 冷乗越夏道トラバース ⇒ 高千穂平 2049m 16:00 幕営

4月28日(月)

高千穂平 5:00 ⇒ 西俣出合 7:10 ⇒ 大谷原 7:50

26日

    正月山行に行けず、GWはぜひ春山を登りたいと思い、自分がリーダーとなって登れるルートを2月頃から考え、鹿島槍ケ岳東尾根を登り赤岩尾根を下山する2泊3日の山行を計画した。パートナーは、4月から対馬へ転勤となった同じ山岳会の林さん。

   25日は、午後から年休をとって、「ジエットホイル」で博多港へ出て、「バス」で博多駅へそれから「新幹線」で名古屋、「急行ちくま」で松本、それから大糸線に乗換えて、信濃大町駅に到着したのが、翌日の午前5時8分。2ヶ月前から計画して時間とお金をかけて長野県まで山に登りに行くのだから気合の入り方が違う。   

   信濃大町駅のコインロッカーに着替を残し、予約していた中型タクシーに乗って大谷原 まで、所用時間約30分。料金約5千円。大学生3人と相乗りすれば1名当たり千円ですんでいたのに。やはり、このあたりの交渉は、林さんにまかせておいた方が得策だった。

   26日の雨は、午前6時頃には止むと予想していたが、出発時間となっても雨が続いている。先も長い事もあり、そのまま出発。

大谷原

   雨が降っているために、取付付近を地形図で確認をしなかったために取付から300m程行き過ぎてしまい、いったん戻り、ぬかるんで足場の悪くなった急斜面を登る。尾根に乗った地点の標高は、1,400mであった。そこから、ひたすら雨の中を高度を稼ぐ。途中から、大学山岳部の3人と「一の沢の頭」まで一緒に歩く。

元気な林さん!

   尾根上には、ところどころ排泄物のあとが出ている。きちんと穴を掘ったのだろうが、雪解けとともに表面に出てきたのだろう。涸沢などはGW時の処理が大変だと本で読んだ記憶がある。

 一の沢の頭から東尾根の核心部を望むことができた。ルートについては、十分に研究してきたつもりであったが、どこが第一岩峰か第二岩峰かの区別がつかない。とりあえず、二の沢の頭を目指す。 一の沢の頭からの展望

   一の沢の頭から二の沢の頭へ

 一の沢の頭からは、やせ尾根が続くが、この日は雪解けのブッシュ歩きが大変だった。

二の沢の頭から望む東尾根核心部

   4月26日、二の沢の頭から先に進むのは、我々のパーティーのみであった。トレースのない雪稜を歩くのは、気持ちがいい反面、トラバース時には雪崩れないか不安であった。

  

第一岩峰への向かう末永

第一岩峰への向かう末永 その2

     この登りは、 かなりの急登であったが、ザイルを出すほどでもなかった。

   

第一岩峰基部の雪壁

一の沢の頭(左)と二の沢の頭(中央)

   第一岩峰基部の雪壁は、ダケカンバでビレーをとり、ダブルアックスで登る。午後2時を過ぎてからの登攀となり、雪がかなり緩んでおりザイルを出す。長崎県出身の我々2人にとっては、はじめて雪壁でピッケルでのビレーを経験する。練習のつもりで必要以上に念を入れる。

第一岩峰基部雪壁1ピッチ目

    16:30第一岩峰基部着。岩峰の少し手前の平坦な尾根を十分に時間をかけて整地してテントを設営する。
26日の夜は、風もなく穏やかであった。



27日

   朝一番に第一岩峰に取り付くはずが、5:30頃には後続のパティーが来てしまった。昨日の我々のトレースのおかげで楽だったと礼を言われる。日中とは違って、締まった固い雪なので雪壁をザイルなしで登ってきたようだ。

    6:00登攀開始。第一岩峰は、見たより傾斜はなく階段上で登りやすい。春山ということで、風も寒気もなく楽しみながら登ることができた。
もう少し、雪があれば右側から取り付いて中盤の雪渓をそのまま登ることができるようだ。その方が楽に登れるらしい。

第一岩峰

   第一岩峰の2ピッチ目は、階段状で全く問題なかった。第二岩峰基部までは、練習もかねてコンテで行動。

第二岩峰

   第二岩峰で先行していた3人パーティーに追いつく。今度は、我々がトレースを歩き楽させてもらった。ここで、数パーティーが登攀待ちとなった。

第二岩峰終了点からの取付付近

   第二岩峰でザイルをしまう。ここで核心部をぬけて気分が楽になった。はじてのルートなので景色を十分に楽しみながらのんびり歩く。

鹿島槍ケ岳(北峰)後方:剣岳

   

 

鹿島槍ケ岳(南峰)からの爺ガ岳方面

    鹿島槍ケ岳(北峰)から先の縦走路は、夏道が出ていた。南峰からは、アイゼンをはずす。冷池山荘のテント場には、全く雪がついておらず、そこから山荘まではかなりの積雪であった。山荘前で約6m。

冷池山荘

赤岩尾根分岐にて

夏道トラバース

   降雪後は、夏道トラバースは危険ということであったが、降雪もなくトレースがついており安定している様子だったので夏道を行く。念のため、一人づつ、トラバースをおこなった。トラバース道から見る赤岩尾根の頭付近は、かなりの傾斜がありザイルの必要性を感じた。降雪直後の赤岩尾根の下山は注意が必要。

   下りでスリップして、すぐに停止したがかなり滑る。あまり傾斜もないようなのだが、その後は集中して下山する。

高千穂平(幕営地点)

   16:00高千穂平着。風もなく最高の天気でテントを乾かしながらのんびりすごす。

28日

   早朝5:00から行動開始。昨日とは、違い雪も固く快適。しかし、標高が下がるにしたがい雪質が悪くなると同時にもなか雪に悩ませられる。赤岩尾根の下部は、傾斜も強い上に尾根も細くおまけに早朝だというのに雪質も悪く非常に歩きづらい。これほど悪いとは思ってもいなかった。結局、西俣出合まで忠実に尾根をたどる。

西俣出合

大谷原にて

   大谷原から信濃大町までタクシーで、約5千円。七倉荘で風呂に入り、10:37に信濃大町を出て、29日の0:15に厳原の自宅へ戻る。