南稜から見上げる阿弥陀岳【H14.1.26】

期 間:平成14年1月26日(土)

メンバー

ガイド   浦野   誠動

    末永 直樹 以上2名

   1月28日(月)から静岡で1週間の研修の予定があったので、悪天で中止した正月山行のかわりにアプローチが短い八ヶ岳を単独で企画した。今回は、久しぶりの出張登山だ。1泊2日の日程で安全かつ確実に日程通りで下山しなければならないので、北八ヶ岳とも考えたが、せっかく旅費が浮いたことから、以前から行ってみたかった阿弥陀岳南稜のガイド山行が日程的に都合が良く、さっそく山岳ガイド・グループ『イエティー』に申し込んだ。参加者は、2名からとなっていたが、私だけの申し込みとなり、若干の割増料金となったが、その分得ることも多いと思い参加した。

   1月25日の最終便で対馬から福岡経由で東京へ出て、新宿ではじめてのカプセルホテルに宿泊。イビキがうるさくゆっくり休むことが出来なかった。26日、新宿発7:30のあずさで茅野へ。

ガイド   浦野   誠動氏

   1便速い便で行ったにもかかわらず、ガイドの浦野氏はすでに駅で待っていてくれた。ゆっくり挨拶する時間もなく早々と出発。車中では、天気の話題となる。26日の午後から天気が崩れる予想なので、御小屋尾根への縦走は無理。おそらく南稜に荷物をデポして、阿弥陀岳のピストンになるだろうということだ。あらかじめ天候については、情報はもっていたものの少し残念。しかし、出発が予定より早くなったので行けるところ行こうということになった。

 1/26   舟山十字路発 10:40 ⇒ 阿弥陀岳 16:30 ⇒ 御小屋尾根 2300m 付近 泊 17:30
 1/27    出発 9:00 ⇒ 舟山十字路着 12:30

   舟山十字路に車を止めて、旭小屋へ。途中、水場でテルモスに水を補給する。旭小屋は、思った以上に立派だったが、現実的には使用不可ということだ。休憩の都度、お互いの話をする。浦野氏は、個性的な経歴の持ち主で、オーストラリアの大学と大学院を卒業した後、中国に語学留学するなど国際的で実に活動的な人物だ。英語と中国語に堪能らしく、将来は語学を生かした山岳ガイドをめざしているということだ。小同心クラックでお世話になった志水氏もそうだが、普通のサラリーマンとなった私が、そうありたいと思いながら実行できなかった事を現実のものにしている人だ。

   旭小屋の裏手からジグザグの急登がはじまり、しばらく行くと樹林帯となる。木々の間からは、北方に御小屋尾根が見えるようになる。

立場山手前の樹林帯

立場山山頂2370mにて

   予定では立場山山頂かP1、P2でテント泊だが、荒天が予想されるのでそのまま先を急ぐ。

北アルプスを望む

   青なぎからアイゼン・ハーネス・ヘルメットを身につけアンザイレンで行動する。セカンドの私は、浦野氏から『環付きカラビナを使ってエイト結びの中にインクノットを作って』と言われ、はじめ意味が分からなかった。ようするに、8の字結びで作ったループの中にインクノットを作ってそれに環付きカラビナを通すと言うことである。このほうがより安全と言うことである。この方法は、単独の場合のトップロープでベーシック等の登行器を使用して登る場合などのザイルの固定にも用いるということであった。

   天候は、午後から崩れるということであったが、天気は予想より遅く推移しているようだ。しかしながら、樹林帯を過ぎるとさすがに風は強く、核心部となるP3を過ぎた頃は、吹雪模様となりとても写真をとるような余裕はなかった。
   阿弥陀岳山頂では、浦野氏と登攀の握手をすませ、早々に御小尾根へ下山する。しかし、この下降路は晴天の際は、問題ないと思うが荒天時は判りづらいと感じた。荒天時は、経験者同伴が望ましい。

   冬山で眼があけていられないような悪天の時はいつもそうだが、サングラスやゴーグルをつけてもすぐに曇ってしまい結局は、はずして、眼を手で覆いながら歩いている。浦野氏は、スキー用のゴーグルに中性洗剤をつけており曇らないようだ。私も曇り止めはしているのだが。早めにかけるのがコツらしいが、経験がものをいうようだ。

  御小尾根を1時間程下山してテントを張る。今日の夕食は、レトルトのカレーとハンバーグ。ごはんも米から炊いた。標高2000mを超えているにもかかわらず、実にうまいご飯ができた。私の今までの経験では、標高1500mを 超えるとまともなご飯にならないと思っていたが、炊き方次第のようである。沸騰したお湯に米を入れてから炊くといいようだ。

御小屋尾根にて

   前夜かなりの降雪があり、御小屋尾根は下りであるにもかかわらず、ラッセルでかなりのアルバイトをしいられた。冬山を経験して6年目で、はじめてラッセルした。九州の最西端、長崎県人である所以か。浦野氏の現在の山行状況を聞くと、私の冬山の15シーズン分くらいを1シーズンで経験しているようだ。長崎県人である我々は、雪山はせいぜい1年で多くて3回程度だ。正月及びGWのアルプスと2月の大山くらいだ。今度から降雪直後の久重や祖母、阿蘇の氷壁及び冬壁にも積極的に出かけたい。とにかく経験することだ。舟山十字路までは、 ラッセルのために思った以上に時間がかかって到着。

  今回の山行は小人数であったため、悪天であったが予定通り行動ができてよかった。これで、無事に月曜日からの研修にも出席できる。いつものことながら、山行が終了すると家族と仕事のことが頭に浮かぶ。