期 間:平成13年7月27日(金) 〜 28日(土)

C L :末永
S L :栗山

尾平発 6:00 ⇒ 尾平着 18:00

   2年前の8月に初めて遡行して途中敗退したウラ谷右俣を前回の3人のうちの2人で遡行することになった。昨年も計画していたのだが、台風のため中止したのだ。長崎出張を利用して、同じ山岳会のK山氏と午後8時に長崎市を出発する。いつものごとく高速を熊本ICまでの乗って、国道57号を竹田市へ向かう。途中、道を間違ったこともあり12時過ぎに尾平着。K山氏は、いつものごとく焼酎を飲むとの事だが、私は、運転している時から疲れていてそのまま寝てしまった。

    翌日5時過ぎに起きて簡単に朝食を済ませ、登山届のボックスに計画書を入れ6時に尾平の駐車場を出発。天気は、朝だからまだ分からないが、今日はくもりのようだ。ウラ谷は、黒金尾根の方へ歩き、 川上谷出会よりウルシワ谷を遡行して最初に左より出会う谷である。

ウルシワ谷入渓地点のK山氏

   ウルシワ谷の入渓地点で全ての登攀用具を身につける。まだ、体も十分に動かずアップのつもりでゆっくりと遡行する。しばらくすると、右手にスラブ状の壁がある。



ウルシワ谷のスラブ壁

   ウルシワ谷をしばらく遡行して、左から出会う谷がウラ谷となる。しばらく行くとナメが広がる。こどもを連れてくると喜ぶこと間違いなしだが、ここまで来るのは難しいだろう。2年前に遡行した時に比べ、倒木が多く水が少ないために沢の美しさは、前回の方があったようだ。しばらく行くと谷の中央の巨石に大樹が生え谷が二手に分かれるはずだが、あまりに倒木が多いために気がつかなかった。

二俣から右俣への最初の滝

    この滝は、K山氏がリードで登る。むずかしい滝ではないと思うが落ちると大変なのでしっかりとザイルをだして登る。支点は、ハーケンが一本あるので取付く前に確認が必要。

二俣から右俣へ入った直後のいくつかの滝を登りきったとこ

    前回からするとかなり水量がすくなく今回の方がかなり登りやすかった。しかし、いまから思えば2年前は遡行する数日前から雨だったし前夜も雨で遡行するには水量がありすぎたようにも感じる。

    15mのCS滝までなんの問題もなく遡行する。問題のCS滝は、見るかぎり簡単そうだが途中に全く支点がないのでなかなか次の一歩がだせない。K山氏にリードで行くかを尋ねると行くということなので登ってもらうつもりでいたが、やはり私がリードすることにした。一応自分が計画した山行なので難所は責任持つという考えなのです。

15mのCS滝

   この滝は、左のバンド状を登る事になる。滝そのものは雨が降らないかぎりは乾いていると思うが、こけが多く通常の岩とは勝手が異なる。ビレイヤーにも一段上がってもらい確保をお願いする。最上部に腐りかけたハーケンが2本あるが十分な強度はない。その他は全く支点はない。まず最初の一歩がでず、なかなか登ることができない。困難ではないのだが、最初の支点がとれないのだ。ナッツで支点をとりはしたがふんぎりがつかない。前回、自分はどうやって登ったのかなあと悩んでしまう。しばらく、岩に登っておらず勘が鈍っているようだ。写真でもわかるようにバンドと平行してクラック状の溝があるがそこに石が詰まっており、周りの土を払いのけるとCSになっていたのでそこにシュリンゲをかけて支点をとる。今度は、しっかりとした支点がとれ安心して登れる。後は同様にいくつかの支点をCSとナッツおよび木の根からとり登る。支点さえ取れれば問題なく登れる。最後は、いったん滝の上まで登り木を支点にして懸垂で降りることになる。15mのCS滝をリードする場合は、多めのシュリンゲとハンマー及びハーケンも持った方が良い。前回は、良くきいたハーケンを1本うった後回収したのだが、自分でもどこにうったか今回分からなかった。この滝のリスは、せまく薄いハーケンが都合が良いだろう。

    この後は、適当に登れないような滝は適当に高巻きながら遡行する。そして、前回無理して落ちて敗退した所へきた。壁を良く見ると我々が残置したバイルとカラビナが残っている。回収したいのは、やまやまだが回収には、安全のためにいったん登って懸垂でおりてブルージックで登るとなると2時間以上の時間が必要となるようなので今回はあきらめ次回に機会を作って回収目的で遡行したい。

登ってはならない壁

    前回は、とにかく水量がありこの壁を登るしか遡行できないような気がしたが、今回はもっと安全なルートを一目で見つけることができた。そのルートは、滝の落ち口を横切ることになるが前回は水量のせいでとてもできない状態だった。今おもえば、私が落ちた壁が濡れていない今回でもこの壁を直登するのはできないと思う。完全に判断を誤っていたようだ。前回はここでおとなしく戻るか、大高巻きするしかなかったようだ。

    滝の落ち口を横切りこの壁の左手のやぶと岩場のミックスしたようなところを登る。ここでもザイルが必要となる。

ウラ谷上部の滝

    これから先は、適当に高巻きなが行く。途中からガレ場となり足元が悪くなるので落石に注意が必要となる。『九州の沢と源流』には、深いルンゼと急斜面を登ると藪こぎなしで稜線に出るとあるが最後のつめで間違えたのか、やぶこぎとルートファインディングが必要となりなんとか縦走路に抜ける事ができた。途中、私の新調したコンタクトレンズが目にあわず、かなり時間をくった。K山氏に何度も目を見てもらうが問題ないということだがとても痛くてはめれいらねないので後半は、片方はずしてからの遡行となった。そのせいか、時間がかかり尾平に戻ってきたのはちょうど18時で12時間を要した事になる。体調がよくないので、明日のK山氏が計画したセンスジ沢は中止して戻ることになった。しかし、結局私は、目だけではなく翼々日には、39度近くの熱がでて初めて点滴をうった。今思えば、K山氏には悪るかったがセンスジ沢を中止して良かった。一週間前にクライミング中に熱中症の状態になりその後、出張と飲み会が続いた上で体が休まる時間がなくその上での山行が負担になったようだ。その後、2週間はトレーニングも完全に休養して、北アルプスの縦走に備えた事は言うまでもない。

※ 一部ルートの表現は、『九州の沢と源流』著者:吉川 満 氏を引用しております。

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